【6月30日 AFP】交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブック(Facebook)が「感情の伝染」を調べる研究のため、およそ70万人のユーザーの感情をひそかに操っていたことが判明し、ユーザーの間から怒りの声が上がっている。同社は当該行為の正当性を主張している。

 フェイスブックは2012年、利用者の感情について調査するため、告知および明白な合意もないまま、プログラムを通じてユーザーへの投稿を1週間にわたって操作した。

 研究チームは、利用者が読むメッセージ内の肯定的あるいは否定的な言葉の数によって、その後の投稿にどのような影響があるかを調べた。

 調査は、フェイスブックと提携している研究者、および米コーネル大学(Cornell University)と米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California at San Francisco)の研究者らが行った。

 調査についての報告は、17日に米科学誌「米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)」に掲載されていたが、オンライン誌「Slate and The Atlantic」が28日に取り上げたところ、フェイスブックに対する怒りや不信感がネット上に広がった。

 報告では、「人の感情は伝染する。自分で気づかないうちに他人の感情を経験すること」があるとし、SNSを通じて感情が大規模に伝染することが、今回の調査で裏付けられたとしている。

 一方、10億人以上のユーザーを抱えるフェイスブックは、声明を発表。「調査が実施されたのは2012年の1週間だけで、使用されたデータは、特定のユーザーのアカウントに結びつくものではない」「ユーザーに関係のある魅力的なコンテンツ作りと、サービス向上のための調査」と述べた。

 また調査報告には、「個人情報の取り扱いについての同社の方針に一致しており、すべてのユーザーはフェイスブックのアカウントを作成する前にこれに同意している」と記されていた。

 しかし、この心理学的実験の存在が明らかになり、マイクロブログのツイッター(Twitter)上では、「超不気味」、「気持ちが悪い」、「悪魔」といった怒りの言葉とともにフェイスブックへの批判が噴出している。

 報告によると、調査については開始前に倫理当局からの承認を得ているという。(c)AFP