【6月29日 AFP】サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)決勝トーナメント1回戦で、ブラジルがかろうじて敗退の屈辱を免れると、ファンは長い安堵のため息を漏らしながらも、花火を上げて勝利を祝った。

 自宅やバー、あるいは巨大なスクリーンで試合を観戦したブラジル国民は、セレソン(Selecao、ブラジル代表)がチリとの息づまるPK戦を制して勝利すると、喜びを爆発させた。

 ファンはアパートや車の窓から「ブラジル!ブラジル!」と叫び、プラスチックのブブゼラを吹き鳴らし、花火を打ち上げた。

 しかし、チームのプレー内容に不安を感じたファンは多い。ブラジルは1-1で迎えたPK戦で、相手のキックを2度防いだGKジュリオ・セザール(Julio Cesar)の活躍があって準々決勝に駒を進めた。

 サンパウロ(Sao Paulo)の繁華街で行われた公式「ファンフェスト」に参加し、大型スクリーンで試合を見つめた無数のファンの1人、35歳のセルジオ・パウロ(Sergio Paulo)さんは「がっかりした。ブラジルにはもっと良い試合を期待していた」と話した。

 38歳のシウビア・デ・ソウザ(Silvia de Souza)さんも「悪くないけど、残念。ブラジルとネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)ならもっと良いプレーをしてくれると思っていた」と話した。

 その一方で、ブラジルが自国開催の大会で最多記録を更新する6度目のW杯制覇を果たし、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)でウルグアイに敗れた1950年大会決勝の亡霊を追い払えると、今でも信じているファンもいる。

 45歳のクラウディオ・ドス・サントス(Claudio dos Santos)さんは「難しい試合だった。ネイマールは消えていた。けど今もブラジルが優勝できると信じてるよ」と話した。

 今回のW杯では、スタジアム建設の遅れや、110億ドルに上る開催費用への抗議デモなど、開幕前に数々の問題に見舞われたこともあって、代表チームにはタイトル獲得へのすさまじい重圧がかかっている。(c)AFP/Laurent THOMET