■「秩序維持」

「被旅遊から北京に戻ってきたばかりだ」と、画家で活動家の厳正学(Yan Zhengxue)氏はAFPの取材に語った。

 同氏は、北西部・寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)へと旅行に連れて行かれ、トングリ(Tengger)砂漠も訪れた。期間中は警察官が常時同行し、費用を全額支払ったという。

「旅行を拒否すれば、その報いを受ける」と厳氏は語る。「行かなければならない。観光地に行ったところで、強制されているので楽しむような気分ではない」

 同行する政府高官は旅行を満喫しているようだ。

「最高の料理を食べ、最高の酒を飲んだ。治安当局者も楽しんでいたよ。同行するのは一般の治安要員ではなく、一定以上の階級にある当局者らだ」と、3月に古都・西安(Xian)に2週間の旅行に連れ出された環境活動家は語った。

 同活動家の被旅遊には、「かなりの人数」の中国国家安全部高官が同行したという。一行は、西安の「最高のホテル」に滞在し、兵馬俑を見学。夜にはレーザー光線のイベントが行われる大雁塔を訪れたという。

■「移動式監獄」

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)のマヤ・ワン(Maya Wang)氏は「草の根の運動家なら、(陳情者らを拘禁する)『黒監獄』に収容される。強制旅行は比較的知名度のある活動家向け」と説明する。

 被旅遊は「違法な拘禁の一種だ」とワン氏は付け加え、「人の自由を奪うこの種の強制旅行は不法だ」と指摘した。

 被旅遊の経験がある南西部・四川(Sichuan)省のある陳情者は「強制旅行は移動式監獄のようなものだった」とコメントしている。(c)AFP/Tom HANCOCK