【6月25日 AFP】米運輸安全委員会(National Transportation Safety BoardNTSB)は24日、昨年7月に米サンフランシスコ(San Francisco)で発生した韓国アシアナ航空(Asiana Airlines)機の着陸失敗事故に関する公聴会で、事故原因として操縦士が自動操縦に頼り過ぎていたことなどを挙げた。

 アシアナ航空214便のボーイング(Boeing)777 型機は昨年7月6日、着陸の際に護岸に衝突して炎上。中国人の若者3人が死亡し、182人が負傷した。米国で発生した民間航空機事故としては2009年以来のものとなった。事故当日の天気は晴れで、視界も良好だった。

 首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)で行われた公聴会でNTSBのクリストファー・ハート(Christopher Hart)副委員長は、「搭乗していたのは安全面でも高い実績を持つ熟練した乗務員だったが、同機に搭載されていた自動化されたシステムについて誤解があった」と述べた。

 事故調査官らは、機体がサンフランシスコ空港に向けて着陸体勢に入った時点で、イ・ガングク(Lee Kang-Kuk)機長が自動操縦装置のスイッチを切っていたことを明らかにした。機長は操縦する機体をエアバス(Airbus)A320 型機から、より大型のボーイング777型機に移行するための訓練中だった。

 NTSBのビル・イングリッシュ(Bill English)主任調査官は、自動操縦装置のスイッチを切ったことで速度を自動的に維持する「オートスロットル」装置も解除された状態となり、機体の速度を自動的に維持することができなくなったと述べた。

 NTSBは、機体が適切な進入経路(グライドパス)より下がったため、機長が機首を上げて機体を上昇させようと試みたものの、オートスロットルが解除されていたために思うようにエンジン出力が上がらず、滑走路に到達することができなかったと説明した。

 事故の責任追及はしないことになっているNTSBは、操縦ミスを犯したとアシアナ航空機の操縦士をあからさまに批判することはせず、事故につながった要因として、ボーイング777型機のオートスロットル装置の他、操縦士の疲労や、太平洋を横断する10時間半のフライトでの時差ぼけなど多様な事項を挙げた。(c)AFP/Robert MACPHERSON