【6月23日 AFP】ウガンダのある男性はズボンを足首まで下げ、包皮にゴムバンドがかけられるのを待っている。割礼を奨励し、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染率を抑制するためにアフリカ諸国で開始された手術不要という新しい割礼器具を装着するところだ。

 プラスチック製のリング2個にゴムバンド1個だけというこの簡易器具を着けると、血流が止まって包皮が縮み、1週間後にゴムバンドを外す際に同時に包皮も除去されるという。

 数分間の装着処置を受け、「少しの不快感も何も感じなかった」と語った男性によると、包皮を切除する通常の割礼手術とは異なり出血もなかったという。これなら、切除に伴う感染症のリスクも下がる。

 科学者らによると、HIVの受容体が男性器の他の部分よりも包皮内に多く存在することに加え、性交中の包皮裂傷からHIVが侵入しやすくなることもあり、包皮を除去しておくとHIV感染率が大幅に下がるという。

 この新たな割礼器具「プリペックス(PrePex)」はウガンダだけでなく、ボツワナ、ケニア、モザンビーク、南アフリカ、ザンビア、ジンバブエ、その他のサハラ以南アフリカ諸国で導入されている。国連(UN)の世界保健機関(World Health OrganizationWHO)はこれらの国々を、HIV感染リスクが高い反面、男性の割礼率が低く従来の切除手術の活用数も少ない「優先」諸国と特定している。

 アフリカ東部の国々では長い間減少傾向にあった、HIV感染によって生じるAIDS(エイズ、Acquired Immuno Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)の発症率が近年再び上昇しつつあり、毎年最大8万人が死亡している。ウガンダ政府はプリペックスにより、割礼を受ける成人男性が増えることを期待している。

 以前からエイズ撲滅運動が評価されているウガンダは、2010年に総合的な割礼推進計画に着手。当時従来の手術を受けていた人は9000人程度だった。保健省によると、以来15歳以上の男性の13%に当たる120万人が処置を受けており、昨年だけでも80万人が割礼を行ったという。プリペックスの導入で、この数はさらに増えるものと見込まれている。(c)AFP/Emmanuel LEROUX-NEGA