【6月20日 AFP】東京都議会の本会議で18日、女性の子育て支援策について一般質問を行っていた女性都議に対し、男性都議から「自分が早く結婚したらいい」「産めないのか」などの性差別的なやじが飛んだ。やじは与党・自民党(LDP)の議席周辺から聞こえたという。党派を超えて非難が広がる中、菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は20日、「議会で自浄作用を果たしてほしい」と述べた。

 やじが飛んだのは、みんなの党(Your Party)の塩村文夏(Ayaka Shiomura)都議(35)が出産や育児をする女性への支援策をめぐる質問の中で、不妊治療を検討中の女性に対する支援を呼び掛けたときだった。

 みんなの党の音喜多駿(Shun Otokita)都議によると、「早く結婚したほうがいいんじゃないか」「子どもは産めないのか」などのやじが飛ばされたという。塩村都議は、涙を浮かべながら質問を続けたという。

 音喜多都議はAFPの取材に、やじは自民都議席から聞こえたと語った。自民党を率いる安倍晋三(Shinzo Abe)首相は、女性の活躍推進を掲げている。

 塩村都議は19日、記者団に対し、やじは複数の都議から飛んだと語り、「政策と全く関係のないやじはするべきではない」「人格を否定するようなやじは、誹謗(ひぼう)中傷だ。質問に立つ議員を尊重してほしい」などと訴えた。また、20日には発言した議員の特定について「名乗り出てもらったほうがすっきりすると思うし、私自身も少し心の傷が癒える」と述べた。

 一方、20日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)とのインタビューで塩村都議は、やじが飛んだ瞬間「頭の中が真っ白」になったと話し、旧態依然とした露骨な侮辱で、小学生でも間違っていると分かると述べた。

 同紙によると、塩村都議は安倍首相の女性推進政策を基本的に支持しているが、今回の問題をみても政治家はもっと女性の生の声に耳を傾ける必要があると指摘している。

 ソーシャルメディア上では、やじに対する批判が相次いでいる。弁護士の佐々木亮(Ryo Sasaki)氏はマイクロブログのツイッター(Twitter)に、「これらが許されないセクハラ発言だということを世の中に知らしめるためにも、あいまいにすることなく、ちゃんと発言者を特定して、落とし前をつけるべき」と投稿し、民間企業では辞職につながる発言だと述べた。

 日本は、先進国の中で女性の就労率が最も低い国の1つ。多くのエコノミストが、働く女性を増やす必要があるという点で同意している。だが、育児施設やキャリア支援の不足、凝り固まった男女差別が女性の社会進出を阻んでいると批判されている。(c)AFP/Kyoko HASEGAWA/Hiroshi HIYAMA