【6月20日 AFP】英下院の特別委員会は18日、白人労働者階級家庭の児童の学業成績を向上させるため、在校時間を延ばすべきだと提言した。

 下院教育委員会(Commons Education Select Committee)の所属議員らは、白人貧困世帯の子どもたちは概して、同様に貧しい黒人やアジア人の児童らと比較しても試験で好成績を残せておらず、その成績不良は「確かに存在し、改善の兆候がみられない」と警告している。そしてその要因には、「家庭生活での問題、学校の慣習、より広義の社会政策」などがあると指摘した。

 同委員会が提出した報告書によると、白人貧困世帯の児童らは宿題にかける時間が少ないため、在校時間を延長すれば成績向上につながる可能性があるという。また、有能な教師らに貧困地域の学校での勤務を促すため、政府が動機付けを検討していくことの必要性も提言している。

 教育省は、学校による開校時間延長を容易にしたり、ニック・クレッグ(Nick Clegg)副首相が掲げる主要政策「児童支援金(Pupil Premium)」に25億ポンド(約4334億円)を拠出したりと、貧困世帯の児童らを対象としたさまざまな措置を講じているとしている。

 同省の報道官は、「省の改革の最大の目標は、社会の最貧層の子どもたちの成績向上であり、事実すでに改善が目に見えている」と述べている。

 また全英教員組合(National Union of TeachersNUT)のクリスティーン・ブロワー(Christine Blower)書記長は、教育水準の向上を目指すのであれば、議員らはより手厚い貧困対策に乗り出すべきだと話している。

「貧困世帯の児童は、他の世帯の子どもたちに比べて通学準備が整っていないこともある。前夜に食事を食べていない、自分のベッドで寝ていない、朝食をとっていないといった単純な理由で、学ぶ能力に影響が出るからだ」(c)AFP