アルゼンチン戦を見逃すなど我慢ならなかった人々もいた。アルゼンチン代表カラーを身にまとった約30人の集団が、スタジアムの壁を乗り越え、入り口のゲートを突破して、チケットがなければ入れない区域になだれ込んだのだ。この様子は居合わせた人にビデオ撮影され、インターネット上に投稿された。

 乱入者のうち身柄を拘束されたのは9人だけで、残りはメッシのゴールを生で目撃するという夢をかなえたとみられる。

■チケット1枚16万円

 ダフ屋行為も横行している。

 マラカナン・スタジアムの外では、チケットを販売していた英国人3人とフランス人1人が警察に逮捕された。警察当局はチケット14枚と6000ドル(約61万円)を押収したという。一方、W杯開幕の数日前には、チケットを額面の約2倍に相当する1枚約200ドル(約2万円)で販売していたとしてマラカナン・スタジアムの修復工事に携わった作業員8人が逮捕された。

 5月には、リオの消防隊員が偽造チケット製造容疑で逮捕されている。この偽造チケットには最高4000ドル(約41万円)の値が付いていた。

 12日の開幕戦でも、FIFAによると約50人が偽造チケットを所持していたため入場を拒否された。会場のアレーナ・デ・サンパウロ(Arena de Sao Paulo)の外でAFPの取材に応じたメキシコ人の男は、チケット3枚を2500ドル(約25万円)で売ったと語っていた。

 西部クイアバ(Cuiaba)では、チリ対オーストラリア戦のチケットが1600ドル(約16万円)で売られていた。「とても高い」。そうこぼしつつ、チリ人のカーラ・ヒメネスさんは次のように語った。「でも、それは問題じゃない。1枚欲しい。W杯で代表チームを観戦するのが、私の人生の夢なんだ」 (c)AFP/Laura BONILLA CAL