■労働者が置かれた厳しい現状

 待機労働契約で3年間、重度の身体障害がある人の施設で介護福祉士として勤務したローラ・ルイス(Laura Lewis)さん(25)はAFPに対し、「常に待機していなければいけない。就労日や休暇の取得について、私たちからは何も言えない」と語った。「雇用主の意向次第で、25日間続けて勤務することもあれば、全く仕事がない時もあった」という。こうした厳しい条件のもと、待機労働契約で働く介護福祉士は約30万人に上る。

 また、20年前から待機労働契約で家政婦の仕事をしているロシェル・モンテ(Rochelle Monte)さん(38)は、「仕事について、選択肢は1つもない」と話す。仕事量が安定していたことはなく、給与は月によって400~1100ポンド(約6万9000~19万円)と大きな隔たりがあり、仕事以外の計画を立てるのはとても難しいという。

 英国の失業率は7%未満と、EU加盟国の中では低水準となっている。政府は、待機労働契約が国内経済に必要な柔軟性を増していると指摘する。

 一方で批評家らは、こうした労働契約は働く側に大きな犠牲を強いていると主張している。国内最大の公務員労働、UNISONのデイブ・プレンティス(Dave Prentis)事務局長によれば、「家族がいても、住宅ローンを申し込んだり、住宅を購入したり、月々の予定を立てたりすることができない」。

 労組は新たな政府案に猛反発している。国内最大規模の労働組合会議(TUC)のフランシス・オグレディ(Frances O'Grady)事務局長は、政府案は「失業者の就業支援どころか懲罰だ」と非難している。(c)AFP/Stephanie De Silguy