【6月12日 AFP】タイで12日、サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)開幕を数時間後に控え、同大会の全試合が地上波テレビで無料放送されることが決まった。先月、クーデターで全権を掌握した軍事政権が国内に「幸福」を取り戻すため働き掛けを行った。

 これまで同大会の放映権をめぐり、タイ国家放送通信委員会(National Broadcasting Telecommunications CommissionNBTC)と娯楽大手RSが対立していたが、軍事政権が介入し、同委員会に問題を解決するよう働き掛けた。これを受け同委員会は全64試合の放映権を共有してもらうため1300万ドル(約13億円)をRSに支払うことに同意した。

 首都バンコク(Bangkok)をはじめ多くの場所に出されている夜間外出禁止令の解除を軍が認めなかったため、W杯もバーやレストランではなく自宅で観戦しなければならない。

 時差の関係で、試合の大半が外出禁止となっている午前0~4時に行われる。夜間外出禁止令は一部の地域で解除されたものの、バンコクを含む多くの地域では引き続き夜間の外出は禁じられている。

 軍政は先月22日に全権を掌握して以来、国民に「幸福を取り戻す」必要があると強調する広報活動を積極的に行っている。無料の散髪やコンサートを提供している他、クーデターを主導した、普段は険しい表情のプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)陸軍司令官が作詞した歌も発表されている。

 一方で軍政は、反対派に対する取り締まりの手は緩めておらず、反クーデターのデモ隊や退陣に追い込まれた政府の主要な支持者らを拘束している。(c)AFP