【6月12日 AFP】ウクライナ政府は11日、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が提案していたロシア産天然ガスの最終価格を拒否、欧州連合(EU)の仲介で行われていたウクライナへのガス供給問題をめぐる交渉は行き詰まった。

 ロシアはウクライナへのガス供給停止も辞さない構えを見せているが、ベルギーのブリュッセル(Brussels)で開かれた協議では双方が5時間にわたり交渉したものの、合意に至ることはできなかった。

 協議終了後、両国は互いの姿勢を非難。プーチン大統領はモスクワ(Moscow)での政府会議で「われわれの提案が拒否されるならば、全く別の段階に移行する」が「これはわれわれの選択ではないし、望んでもいない」と述べた。

 プーチン大統領によると、ロシア側は天然ガス1000立方メートル当たりの料金として100ドル(約1万円)の「割引」を申し出、385ドル(約3万9000円)の最終価格を提示。だがウクライナ側がさらに引き下げを要求し、交渉を「行き詰まり」に追い込んだと、同大統領は非難している。

 一方、ウクライナのユーリー・プロダン(Yuriy Prodan)・エネルギー相は、ロシア政府の意向次第で簡単に撤回されうる提案を受け入れるわけにはいかない、と語った。ウクライナは通商契約の内容に、市場価格に従った価格設定を盛り込むよう求めたが、「残念ながらロシア側の提案は、政治的な固定価格制だった」(プロダン氏)という。

 ロシア政府は、ウクライナで2月に親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領が解任されたことを受け、同国へ供給する天然ガスの価格を2倍近く引き上げ、ウクライナ政府は以降、支払いを拒否してきた。ロシア政府によると未払い額は45億ドル(約4590億円)に上る。

 11日の協議は行き詰まりを見せたものの、交渉を仲介するギュンター・エッティンガー(Guenther Oettinger)欧州委員(エネルギー担当)は、交渉では一定の共通の地盤が確立されたと述べ、「われわれはまだ交渉中だ」「双方ともに動きが見えるし、先に進む必要がある」と語っている。(c)AFP/Max DELANY with Bryan McManus in Brussels