【6月12日 AFP】2006年に起きた前回のクーデターでは、軍事政権により極めて厳しい資本規制が行われ、株式市場の株価が暴落したタイ──5月にもクーデターが起きたばかりで、世界の投資家らは、この過去の経験から同国の軍司令官らが教訓を得ていることを願っている。

 市場は5月の軍事クーデターをおおむね冷静に受け止めたが、軍政について今も神経質になっている。全権を掌握した「国家平和秩序評議会(National Council of Peace and OrderNCPO)」は、経済担当に空軍司令官を、観光担当に海軍司令官をそれぞれ任命した。

 エコノミストたちは、前回のクーデターで、軍人は東南アジア第2位の規模を持つタイ経済を運営する専門知識に欠けていることが示されたと話す。コンサルティング会社IHSのエコノミスト、ラジブ・ビスワス(Rajiv Biswas)氏は「軍事政権は経済面での運営に悪戦苦闘した。専門的な技術の欠如があらわになった」と述べた。

 リスク評価会社メープルクロフト(Maplecroft)のライアン・アヘリン(Ryan Aherin)は、06年のクーデターの数か月後、軍事政権はタイの通貨バーツの高騰を食い止めるため、徹底的な外国資本の規制を導入したが、市場はこれに敏感に反応したと説明した。

 当時のバンコク(Bangkok)株式市場は、たった1日で15%下落し、当局はすぐに規制を撤回した。アヘリン氏によると、撤回された時には既に、「国家主義的な政策への懸念から、投資家心理は冷え込んでいた」という。

 これまでのところ、世界的に明るい投資家心理に支えられて、バンコク株式市場は5月22日のクーデター以降上昇している。だが、タイにとって最大の投資国である日本は不安を抱えながら状況を注視しているのも事実だ。