【6月10日 AFP】ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)の地下鉄職員らは9日、サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の開幕を目前に控えた同市の交通を大混乱に陥れた無期限ストライキを、いったん中止すると発表した。一方で大会が始まれば、ストを再開する可能性もあると警告している。

 地下鉄職員の労働組合は、ブラジル交通当局がスト中の行為を理由に地下鉄職員42人を解雇したことを受け、5日前から続けていたストを一時停止することを決めた。

 組合リーダーのアルティーノ・メロ・ドスプラゼレス(Altino Melo dos Prazeres)さんは、ストを再開するかどうかは、42人の解雇撤回いかんにかかっているとした上で、「誰もW杯を台無しにしたいとは思っていない。私たちが問題視しているのは、W杯にだけ金が流れ、労働者たちには還元されないということだ」と語った。

 ブラジルではW杯開催や10月の選挙を前にストや抗議デモが多発。12日にW杯の開幕戦、ブラジル対クロアチア戦が開催されるサンパウロの地下鉄職員らも先週、賃上げを求めるストを開始したが、裁判所はこのストは違法との判断を下している。労組側は12.2%の賃上げを要求しているのに対し、政府側は8.7%しか提示していない。

 9日午前には地下鉄職員らのストを支持する150人ほどのデモ隊を、警官隊が催涙ガスで排除した。(c)AFP/Laurent THOMET