■宇宙開発で米中協力?

 そしてこれが、米国を現在の宇宙予算内で火星に行くことを不可能にしていると同報告書は指摘し、宇宙開発ではライバル関係にある中国を含む諸外国との協力関係の強化、さらには民間企業やその他の資金源からの資金調達が必要であると呼び掛けている。

 現在の米連邦法では、中国との二国間計画にNASAが参加することを禁止しているが、これが「火星に到達するために蓄積されるかもしれない潜在的な国際能力を著しく低下させている」とNRCは訴えている。

「宇宙開発における中国の能力が急速に発展していることを踏まえると、将来の国際的強調に向けて道を開くことは、米国にとって最大の利益になる」

 他の国々での月への関心の高まりを考えると、月再訪は国際協力の強化を促すと思われるだけでなく、この種のミッションは、火星に着陸して最終的に居住するための技術を開発する助けになるだろうと報告書の執筆者らは述べている。

 しかしオバマ政権は、コストがかかりすぎるとの理由から新たな月着陸ミッションには反対している。その代わりに小惑星を捕獲し、将来の探査に向けて月の軌道に乗せる計画に重点的に取り組むことを望んでいるという。

 NRCは火星への経路として、可能性のある案を3つ提示している。うち2つは月再訪を含むもので、3つ目の案はオバマ政権の小惑星ミッションに沿ったものになっている。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI