【6月9日 AFP】インドで、5月に政権交代したばかりの与党・インド人民党(Bharatiya Janata PartyBJP)の政治家が「レイプはうっかり起きるものだ」と発言し、女性への暴力に対する世論の怒りをあおっている。

 インド中部チャッティスガル(Chhattisgarh)州のラムセワク・パイクラ(Ramsevak Paikra)州内相は6日、報道陣を前に「こうしたこと(レイプ)は意図的に起きるのではない。この種の出来事は、うっかり起きるものだ」と発言した。

 パイクラ州内相は法秩序維持を担当する閣僚で、北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州で少女2人が集団レイプされ死亡した事件について意見を求められた際にこの発言をした。パイクラ氏は誤った引用のされ方をしたと主張しているが、発言はテレビでも放映された。

 インドでは最近、レイプ事件をめぐる政治家の失言が相次いでいる。数日前には、同じくBJPが州政権を握る中部マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州のバブラル・ガウル(Babulal Gaur)州内相が「レイプには正しいときと、誤ったときがある」と発言した。

 先月の総選挙で圧勝し与党となったBJPのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は、国内で相次ぐレイプ事件に関してこれまでのところ沈黙している。

■被害者の遺族を批判する政治家も

 2012年にニューデリー(New Delhi)で女子学生が集団レイプされ死亡した事件をきっかけにインドでは性犯罪者に対する法が厳罰化されたが、女性に対する暴力事件はインド各地で後を絶たない。

 2少女の事件が起きたウッタルプラデシュ州では、事件への対応をめぐって非難を浴びているアキレシュ・ヤダフ(Akhilesh Yadav)州首相が、少女たちの遺族が野党・大衆社会党(Bahujan Samaj PartyBSP)の指図を受けていると発言。遺族とBSPの政治家の通話内容を盗聴していたことを示唆した。

 ヤダフ氏の父親で同州与党のサマジワディ党(Samajwadi Party)を率いるムラヤム・シン・ヤダフ(Mulayam Singh Yadav)党首は、集団レイプで有罪となった性犯罪者に死刑を適用する新法に反対の立場を取っており、4月の選挙集会で「男の子たちは間違いを犯すものだ」と述べて、世論の批判を浴びている。(c)AFP/Annie BANERJI