【6月8日 AFP】タイ首都の交通渋滞に毎日つかまるバスの車掌たちは、トイレ休憩をとれないことの対策として過激な解決方法を見いだした──大人用のおむつだ。

 何年にもわたる底堅い経済成長を続けているタイだが、バンコク(Bangkok)の肉体労働者たちは、容赦のない都市化と変わらぬ経済格差の最前線に置かれている。ごみ収集から工場労働、タクシー運転手まで、無秩序に広がった人口1200万人の大都市の機能を維持する職業に就いている人々の多くにとって、賃金上昇は必ずしも生活の向上に結び付かないのだ。

■長時間のおむつ着用で疾患に

 交通渋滞がますます悪化する中、車掌たちは老朽化したバスに乗り、熱帯の暑さの中、大気汚染のひどい路上で長時間を過ごしている──トイレ休憩さえとれないことが多い。

 尿路感染症になった時、ワッチャリ・ビリヤさんは長時間トイレに行けない対策として大人用おむつをはく以外に選択肢がなかった。

「体を動かした時に不快だった。特に中に尿をしている時に」と、ワッチャリさんは振り返る。

「バスターミナルに到着したらおむつ交換のために走らなければならなかった。1日に最低2枚は使っていた」

 ワッチャリさんはその後子宮がんと診断され、手術を受けた。

「医師には、清潔でないおむつを着用していたせいだと言われた」

 バンコクには地下鉄や高架鉄道が少なく、多くの市民が移動手段としてバスや車、三輪自動車のトゥクトゥク、オートバイに依存しており、中でも自動車を購入する人が税制優遇措置により増えている。