【6月5日 AFP】伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)の伝記映画の一部が「完全なねつ造」だとして元ガールフレンドが製作サイドを非難している。豪フェアファックス・メディア(Fairfax Media)が4日、報じた。

 ヘンドリックスの伝記映画『Jimi: All Is By My Side(原題)』は、3月に『それでも夜は明ける(12 Years a Slave)』で米アカデミー賞(Academy Awards)作品賞を受賞したジョン・リドリー(John Ridley)監督が手掛けた。

 この伝記映画について、1966年~1969年にかけてヘンドリックスと交際していたキャシー・エッチンガム(Kathy Etchingham)さんは、製作サイドから事前に何の相談も受けていないことを明らかにした。

 オーストラリア・メルボルン(Melbourne)で暮らすエッチンガムさんは、まだ実際に映画を見たわけではないとしながらも、ヘンドリックスがエッチンガムさんに対して暴力を振るう描写にとりわけ怒り心頭の様子で「全くのでっち上げ」と批判した。

 この映画は、昨年のトロント国際映画祭(Toronto International Film Festival)でワールドプレミアが行われた。シドニー映画祭(Sydney Film Festival)でも5日に上映される。

 エッチンガムさんについては、「風の中のメアリー(The Wind Cries Mary)」や「フォクシー・レディ(Foxy Lady)」など、数多くのヘンドリックス作品にインスピレーションを与えたとされている。

 エッチンガムさんは、この映画の批評やトロントの上映会に足を運んだ友人たちを通じ、ヘンドリックスが大成していく過程の描写が「あまりに不正確」だと主張している。

 フェアファックスによると、もし映画の内容が事実とかけ離れていた場合、オーストラリアでの公開中止を求めて法的手段に訴えることも辞さないという。

「あまりにひどい内容なら選択肢はない。もし訴えなければ、同じことが何度も何度も繰り返され、最後にはそれが真実になってしまう」

 ヘンドリックスとは、英ロンドン(London)で初めて出会ったというエッチンガムさん。当時のヘンドリックスは無一文だったが、後に大ヒットを連発させるようになったとし、2人の関係については「本当に楽しかった」と振り返った。

「彼は優しい人だった。ユーモアがあって、面白くて、はきはきしてて…自分がどこに向かって進んでいるのかを正確に把握していた」

 映画『Jimi: All Is By My Side』は、ヒップホップグループ「アウトキャスト(OutKast)」のアンドレ3000(Andre 3000)ことアンドレ・ベンジャミン(Andre Benjamin)さんがヘンドリックス役を演じている。(c)AFP