【6月7日 AFP】ある日曜の夜、ジュゼッペ・マローン(Giuseppe Marrone)さんがニューヨーク(New York)のアパートで、完璧なニョッキの調理法を教えている──生徒たちは初対面の人ばかりだが、カクテルを片手にくつろいだ様子だ。

 29歳のマローンさんは「リッツ・ロンドン(The Ritz London)」ホテルで働いたこともあり、いつか自分の店を持ちたいと思っている。だが今夜は、食通たちを自宅に招いて究極のニッチな体験、ニューヨーク・ディナーパーティーを開催した。

 しゃれたレストランが数多く、家賃が高く大きな部屋に住みにくいこの街で、家でのディナーパーティーは貴重な経験であり、有料でも参加したいと思う人は少なくない。

 米国人を本物のイタリア料理でもてなすため、マローンさんとキアラ・モルタロリさん(28)は、ワインとカクテル付きの豪華な3品のコース料理を一人当たり60ドル(約6000円)で提供した。

 2人はどうやってこのパーティーをアレンジしたのか?

 3か月前にアルゼンチンからニューヨークに進出したテクノロジーベンチャー企業、クックアップ(CookApp、www.cookapp.com)は、自宅を1夜だけレストランに変えてくれる。

 チェルシー(Chelsea)地区のアートギャラリーで働くモルタロリさんは、クックアップをSNSのフェイスブック(facebook)で見つけ、自分の料理と新しい人に出会うチャンスを結び付けてくれる完璧な手段だと思った。

 今回はモルタロリさんがホストを務める2回目のパーティーであり、ゲストとして他の人の家のパーティーに参加したことも2回ある。

 インターネット、そしてイタリア料理と新しい人々とに出会うことに対する共通の関心がなければ、このように若くて多様な職業の人たちが会うことはなかっただろう。

 ディナーはシーフードサラダとブルスケッタ、サーモンのフィロ料理から始まり、ニョッキのラグーソースへと続いた。

 この日集まったのは、出版社の重役や、観光ガイドでマッサージ師の34歳の女性などだ。

 クックアップ共同創設者のベドロ・リバス(Pedro Rivas)氏はAFPの取材に対し、クックアップは2月にニューヨークに進出し、これまでに57のイベントを催したと語った。ディナーパーティーを開催するシェフたちは、事前に審査を受けなければならない。

 800万人が暮らし、豊かな文化や料理の伝統があり、人々が新しいものやナイトライフに夢中なニューヨークは魅力的な市場だ。

 さらに常に新しい人々の流れがある街でもある。ニューヨークに最近引っ越して来たばかりの人々がクックアップの上客でもあると、リバス氏は語った。

「クックアップはこの街にあまり知り合いがいない人たちを結ぶ」(c)AFP/Jennie MATTHEW