【6月3日 AFP】高度なコンピューター・ウイルスを使って企業や消費者から100億円以上を盗み取った世界規模のハッカー組織が、国際捜査網によって解体された。米司法省が2日、発表した。

 2011年9月に初めて出現したこのウイルス「ゲームオーバー・ゼウス(Gameover Zeus)」は、被害者らの銀行口座情報やその他の秘密情報を盗んでいた。

 米連邦捜査局(FBI)の捜査チームによると、被害は12か国の50万~100万台のコンピューターに及び、ハッカーらはウイルスが構築した「ボットネット」を通じて好きなところからコンピューターに侵入、監視し、遠隔操作することさえ可能だった。FBIのロバート・アンダーソン(Robert Anderson)次官は「ゲームオーバー・ゼウスは、FBIやわれわれの協力者がこれまで破壊しようとした中で、最も高度なボットネットだ」と説明する。

 FBIによると、ハッカーらはゲームオーバー・ゼウスのボットネットを利用して盗み出した銀行口座データを使い、被害者の口座から全額を自分たちに不正送金していた。総被害額は1億ドル(約100億円)以上に上るという。

 今回の摘発ではさらに2013年9月に出現した別のウイルス「クリプトブロッカー(Cryptoblocker)」も対象とされた。

 このウイルスは、感染したコンピューターを暗号化した上で、暗号化解除と引き替えの「身代金」を所有者に要求。その額は1件当たり700ドル(約7万円)以上であることが多く、ハッカーらは最初の2か月だけで2700万ドル(約27億円)以上を手にしたという。

 このネットワークの運営者とされるロシア人のエフゲニー・ミハイロビッチ・ボガチェフ(Evgeniy Mikhailovich Bogachev)容疑者(30)は、ゲームオーバー・ゼウスとクリプトブロッカーに関連した共謀、ハッキング、銀行詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)など14件の罪で米ペンシルベニア(Pennsylvania)州ピッツバーグ(Pittsburgh)で訴追された。

 米捜査当局は同ハッカー組織の摘発に当たり、オーストラリア、オランダ、ドイツ、フランス、イタリア、日本、ルクセンブルグ、ニュージーランド、カナダ、ウクライナ、英国の各捜査当局や、欧州サイバー犯罪センター(European Cybercrime Center)、そしてデル(Dell)、マイクロソフト(Microsoft)、アフィリアス(Afilias)、デロイト(Deloitte)、シマンテック(Symantec)などの民間企業とも協力したという。(c)AFP