【5月31日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)は30日、ロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)のオーナー、ドナルド・スターリング(Donald Sterling)氏から球団所有権をはく奪する動きを停止し、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏に20億ドル(約2035億4000万円)でチームを売却する準備を整えた。

 スターリング氏の妻であるシェリー・スターリング(Shelly Sterling)さんは29日、米マイクロソフト(Microsoft)の前最高経営責任者(CEO)であるバルマー氏と球団売却交渉を行い、現在は理事会の承認待ちとなっている。

 NBAは声明で、「NBAとシェリー・スターリング氏、そしてスターリング・ファミリー・トラスト(Sterling family trust)は本日、ロサンゼルス・クリッパーズの所有権について話し合っていた問題を解決した」と発表している。

「今回の合意により、NBAがスターリング氏に対して科していた球団所有権凍結処分を取り下げ、クリッパーズはNBA理事会の承認を経てスティーブ・バルマー氏に売却される」

 NBAによると、シェリーさんとスターリング・ファミリー・トラストは、NBAを提訴しないこと、スターリング氏を含めたいかなる人物から訴訟を起こされた場合の損害を補償することで合意したとしている。

 しかし、リーグ側の発表の直前に、スターリング氏はNBAに対し、契約不履行と独占禁止及び市民権侵害による10億ドル(約1017億8000万円)の損害賠償を請求するため、ロサンゼルス連邦裁判所に提訴した。

 今回の合意が提訴にどのような影響を与えるのか、スターリング氏の顧問弁護士であるマックスウェル・ブリーチャー(Maxwell Blecher)氏にEメールで質問したところ、簡潔に「良い質問だ」と返信があった。

 ブリーチャー弁護士によると、スターリング氏が制裁を受ける原因となった人種差別的発言は、本人の許可なく録音されたプライベートな会話であり、リーグに悪影響を与える人種差別的発言を行ったとしてNBAがスターリング氏に制裁を下す根拠にはならないとしている。

 ブリーチャー弁護士はまた、スターリング氏はクラブの所有権剥奪処分だけでなく、NBAのアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーから言い渡された永久追放処分や、250万ドル(約2億5000万円)の罰金に対しても行動を取る用意があると明かした。

 NBAの法律顧問を務めるリック・ブキャナン(Rick Buchanan)氏は、米スポーツ専門サイトESPNに対し、スターリング氏の提訴は「予想通りだがまったく根拠のないものだ」とコメントした。(c)AFP