【5月30日 AFP】米バージニア(Virginia)州センタービル(Centreville)、平均年収10万ドル(約1000万円)以上という裕福な地域のゴルフ場近くで育ったアンナ・リッチャー(Anna Richter)さんは、高校時代はバスケットボールに打ち込んでいた。

 15か16歳の時に、「ハイ」になるために、処方箋が必要なタイプの鎮痛剤を常用し始めた。その数年後、初めてヘロインを鼻から吸引した。

「試してみて、すごく好きになった。それに、欲しければいつでも手に入った」と、リッチャーさんはAFPに語った。

 ヘロインは、オキシコンチン(OxyContin)やバイコディン(Vicodin)などの鎮痛剤より安価で入手できただけでなく、これまで経験したことのないような幸せな高揚感があった。「自己否定的な考えが全部なくなった」とリッチャーさんは振り返る。

 20歳になるころには毎日のようにヘロイン注射をうつようになっていた。大学を中退し、実家に戻ると、ヘロインを買う金ほしさに親の金を盗むようになった。

「周りでは過剰摂取がたくさん起きていた。このせいで、バージニアでは友達をたくさん亡くした」とリッチャーさんは語る。

 それでも、リッチャーさんはヘロインをやめることはできなかった。リッチャーさんが知るヘロイン常習者たちも、彼女と同様に裕福で教育水準の高い家庭で育った白人たちだった。彼らはヘロインにすがる言い訳となるような苦難も経験していない。

「(ヘロインは)今ではかなり普通になった。かつて持たれていた、汚れたドラッグ、というイメージはない」とリッチャーさんはいう。