■とばっちり恐れ放置される「名誉殺人」、1年で869人被害

「裁判所には警官隊が常駐している。だが、なぜか事件発生時には現場におらず、被害者を保護したり襲撃者を阻止したりして事件を未然に防ぐことができなかった」と、著名な女性人権活動家のタヒラ・アブドラ(Tahira Abdullah)氏は指摘する。「警察が予期できた名誉殺人を放置した例は枚挙にいとまがない」

 一方、男女同権運動家のサミナ・ラフマン(Samina Rehman)氏は次のように話す。「事件は大勢の人たちの目の前で起きたのに、誰1人介入しなかった。自分が村落裁判による公開処刑の対象になる可能性を恐れたためだ」

「人々が(名誉殺人について)はっきりと意見を主張しないのは、神を冒涜(ぼうとく)する行為だと言いがかりを付けられたり、反イスラム的との烙印(らくいん)を押されたりしたくないからだ」

 人権団体「パキスタン人権委員会(Human Rights Commission of Pakistan)」によると、パキスタンでは2013年の1年間だけで、一族の名誉を汚したとして親族に殺害されるいわゆる「名誉殺人」で869人の女性が命を落としている。(c)AFP/Waqar Hussain