【5月29日 AFP】タイの軍事政権は28日、軍のクーデターによって崩壊した前政権を支持する「赤シャツ隊(Red Shirts)」の指導者らを解放した。一方、ソーシャルメディア利用者らの間では同日、交流サイトのフェイスブック(Facebook)が「遮断」されたとのうわさが広まり、警戒の声が上がっている。

 軍部は先週に全権を掌握して以来、250人以上に出頭を命じ、戒厳令の下で自由を制限、夜間外出禁止令を発令するなどの措置を発表し、人権団体からの懸念を呼んでいる。

 警察発表によると、出頭命令に逆らって前日に記者会見し、兵士たちによって身柄を拘束されていたチャトゥロン・チャイセーン(Chaturon Chaisang)前教育相は28日、軍事政権の命令の拒否と「挑発」の罪の裁きを受けるために軍事法廷に引き出された。

 有罪となれば、禁錮刑が言い渡される可能性がある。前教育相は記者会見を利用してクーデターを批判した直後、身柄を拘束された。

 軍部は、政治活動の停止を約束する文書に署名することを条件に拘束した人々の解放を進めているといい、これまでに反政府運動の指導者らや、インラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)前首相やアピシット・ウェチャチワ(Abhisit Vejjajiva)元首相などの政治家が解放されている。

 28日にはほぼ一週間にわたり拘束されていた赤シャツ隊の主要メンバーらも解放された。新政権には軍部の権限により具体的な容疑がなくとも人々を最大7日間にわたり拘束することが認められており、現在も数十人が拘束下にある。

 アナリストらは、深く分断されたタイ政界の政治家らを拘束する動きは、今月22日のクーデターに反対する声を抑える狙いがあるとみている。

 一方、インターネット上では、フェイスブックのサイトが短時間アクセス不能になったことから、一時パニックが起き、軍事政権を非難する声が上がったが、軍部は全国テレビを中断させて行った放送で、フェイスブックの遮断を否定した。

 だがユーザーの中には軍事政権の主張を疑う声もあり、将来の全面的な遮断措置に向けた試験、あるいはクーデターを批判するソーシャルメディア利用者らに対する警告だったのではとの臆測が飛び交っている。(c)AFP/Thanaporn PROMYAMYAI