【6月9日 AFP】ドイツ南部フライブルク(Freiburg)のクラウス・マイヤー(Klaus Meier)さんは、家族経営のホテルで自家発電を始めた理由を3つ挙げる──「コスト削減、エネルギー効率、気候保護」だ。

 エネルギー自給自足は、ドイツの小規模事業者や住宅所有者、学校、病院、工場で広がっており、マイヤーさんもそれを選んだ。

 ドイツの年間消費電力約600テラワット時のうち、約8%にあたる50テラワット時が自家発電だ。住宅の屋根にソーラーパネルが次々と設置され、工場にガス発電所が続々と建設されている。事業・エネルギー消費者団体によれば、産業界では自家発電のシェアは約20%に上る。

 企業が自家発電する主な目的はコスト削減にある。

 ドイツは欧州で電気料金が最も高く、既存の電力の場合、電気料金の3分の1が政府財源となる。だが自家発電なら非課税だ。ドイツは国を挙げて化石燃料と核燃料からクリーンエネルギーへの「エネルギー転換」を行っており、同政策の補助金の財源となる税金もある。だが自家発電ならばこれも免除される。

 メイヤーさんは10年前、19世紀の建物を利用した客室45の四つ星ホテル「パークホテルポスト(Park Hotel Post)」に、ガス燃料のコジェネレーション(熱電併給)システムを導入した。

 費用は5万ユーロ(約700万円)かかったが、「予想してたよりも早期に投資を回収できた」という。