■政治性を優先か

 今回の契約では、中国はエネルギー安全保障を実現させるべく、シベリア東部にあるほとんど未開発のガス田を供給源とすることをロシアに要求した。ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)のアナリスト、ティエリ・ブロス(Thierry Bros)氏によると、「ロシアは特定の新たな油田を中国のために確保することで合意した」という。欧州向けのガスはロシア西部の油田から供給されている。

 ガスの供給価格は公表されていないが、フィッチ・レーティングス(Fitch Ratings)は1000立方メートル当たり350ドル超(約3万5600円)と予想。13年の西欧地域向けガスの価格は同378ドル(約3万8000円)だった。

 しかし、ロシアの大手民間銀行Alfa-Bankのアナリストは、新規ガス田の開発に550億ドル(約5兆6000億円)程度かかる見込みを考慮すると、採算が取れるのは同440ドル(約4万4800円)程度と指摘している。開発コストについては、約半分を中国側が出資するとみられている。

 ロシアは、ウクライナ問題と欧米諸国の制裁によってもたらされる不確実性を背景に、景気後退に陥る恐れがある。しかし今回の中国との契約で財政が改善されることは期待薄のようだ。

 長引く中国との交渉を妥結に持ち込むため、ロシアは今回、重要な収入源である資源抽出税を免除している。ロシアの経済紙ベドモスチ(Vedomosti)は社説で、「常に政治が最優先で、ガスプロムの利益は二の次だ」と論評した。(c)AFP/Eleonore DERMY, Martine PAUWELS