【5月27日 AFP】欧州連合(EU)で25日までに実施された欧州議会(European Parliament)選挙の開票結果に基づき、ドイツとギリシャから極右ネオナチ(Neo-Nazi)政党に所属する議員が史上初めて誕生する見通しとなった。

 ドイツでは、ネオナチ政党「ドイツ国家民主党(National Democratic Party of GermanyNPD)」が約30万票を獲得。欧州議会で同国に割り当てられている96議席のうち、同党としては初となる1議席が与えられるとみられる。

 ドイツでの最近の選挙法改正で全ての最低基準が廃止されたことから、党員数約6000人の同党にも議席が配分されることになった。

 NPDは1930年代のナチス・ドイツ(Nazi)同様、「国家社会主義」を自称し、排外主義と反ユダヤ主義を掲げていることから、同国の複数の地方議会が連携し人種差別を広めているという理由で同党を締め出そうという動きも出ている。

 一方ギリシャでは、開票がほぼ終わった時点でネオナチ政党「黄金の夜明け(Golden Dawn)」が全体の9%を超える票を獲得、定数751人の欧州議会に3人の議員を送り込む見込みとなった。

 同党は1980年代に、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)崇拝を公言しているニコラオス・ミハロリアコス(Nikolaos Michaloliakos)氏によって結成された。同氏は2012年に、600万人のユダヤ人が殺された責任はナチスにはないという発言も行っている。

 同党は、EUがギリシャに課した緊縮策に対する反発を追い風に、得票数で急進左派連合(SYRIZA)と中道右派の新民主主義党(ND)に次いで3位につけた。

 2012年には、反ファシズムを訴えていた男性歌手の刺殺事件をきっかけに、同党の国会議員18人のうちミハロリアコス党首を含む6人が犯罪組織に属している疑いで警察に拘束された。現在同党に所属する国会議員は2人減って16人。この2人のうち、1人は同党を離れ無所属となり、もう1人は服役中となっている。(c)AFP