【5月26日 AFP】ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)にあるユダヤ博物館(Jewish Museum)で起きた発砲事件で、警察当局は25日、防犯カメラがとらえた容疑者の男の映像を公開し、情報の提供を呼び掛けた。この事件では重傷だった1人が同日までに死亡し、犠牲者は4人となった。

 事件は24日午後、ユダヤ博物館内で男が連射式の銃を発砲したもの。顔や首を撃たれたイスラエル人旅行者の夫婦と、フランス人女性とベルギー人男性の博物館職員2人が死亡した。

 ベルギー警察が公開した防犯カメラの映像には、博物館内に入って来た男がかばんからカラシニコフ(Kalashnikov)銃を取り出し、発砲する様子が映っている。犯行は2分にも満たない間の出来事だった。

 男は中背でがっしりした体格で、慌てるそぶりもなく落ち着いて犯行に臨み、歩いてその場を立ち去った。

 事件を受けてベルギー内務省は、全国のユダヤ教礼拝堂(シナゴーグ)やユダヤ系の学校、文化施設に24時間体制の警察による警備を敷いた。

 ベルギーでは過去30年以上、反ユダヤ主義的な襲撃事件は起きていなかった。今回の事件で、欧州で反ユダヤ主義が再び台頭しつつあるのではないかとの懸念が広がっている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、イスラエルに対する欧州の態度を「偽善主義」と厳しく非難している。

 一方、中東歴訪中のローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は訪問先のイスラエルで事件に触れ、深い悲しみを覚えるとの声明を発表。「私の思いは、ブリュッセルで起きた襲撃で命を奪われた人たちのもとにある」と弔意を述べた。(c)AFP/Claire ROSEMBERG, Catherine BOITARD