【5月26日 AFP】地下深部に埋もれている大量の有機炭素が、浸食、農業、山林伐採、採鉱、道路建設などの影響から露出し、さらなる地球温暖化の脅威になり得るとの研究論文が、25日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表された。

 米国とドイツの科学者らからなる国際研究チームは、米ネブラスカ(Nebraska)州で、地表から最も深い部分で6.5メートルの地下に有機炭素が埋蔵されているのを発見した。炭素は主に燃えた植物性物質からのものだった。

 論文の共同執筆者の1人、米ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)のエリカ・マリン・スピオッタ(Erika Marin-Spiotta)氏は、AFPの取材に「草原植生の地表から地下1メートルの最上部の土壌に含まれるのとほぼ同量の炭素を、この地下深部の層で発見した」と語る。

 この発見については「現在、世界規模で把握されている地下の炭素の量が大幅に低く見積もられている可能性があること」を示唆するものだという。

 マリン・スピオッタ氏は「河川性堆積物や火山性堆積物などの堆積物の下にこのような古代の化石土壌が存在する事例は世界中にある」と指摘する。

 大半は埋もれたままの状態だが、時代を経るにつれて地表に露出するものもある。

 土壌中の炭素は微生物の分解作用により、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)として大気中に放出される場合がある。この現象は、地下深部よりも地表面近くで起きることが多い。

「深部土壌中の炭素が、これまで考えられていたよりも影響を受けやすいことが明らかになるにつれ、最近では土壌深部の炭素に関する科学者らの関心が高まってきている」とマリン・スピオッタ氏は話す。

 しかし、大半の研究は、土壌最上部の深さ30センチ以内で行われている。

 同氏はまた、「長期にわたって埋もれていることが結果として、現在把握されているよりもさらに深部に、非常に大量の炭素が存在することにつながる可能性がある」と述べ、「われわれが把握しているよりもはるかに大量の炭素がに存在しているに違いない」と続けた。(c)AFP