世界で4番目に人口が多いインドネシア。東南アジアで最大の経済規模を誇るが、1万7000の島々で構成され、インフラ整備が容易でないことが、低い電化率の要因の1つだ。近年、年6%前後の経済成長を実現する一方で、首都ジャカルタ(Jakarta)を含む都市部で計画停電が実施されるなどエネルギー不足は深刻だ。

 急速な経済成長に伴う電力需要を賄うため、政府は22年までの10年間で発電容量を60ギガワット分拡大する目標を掲げているが、このうち再生可能エネルギーの割合は20%としている。

 インドネシア国営電力会社(PLN)のモハマド・ソフィアン(Mochamad Sofyan)さんは「インドネシアは長い間、石油の純輸入国だった。国の石油備蓄にも限りがある。再生可能エネルギーはエネルギー安全保障の重要な部分だ」と話した。

 だが、スンバ島に設置されている小型の水力発電装置や風力発電装置だけでは、国全体のエネルギー不足を解消するには不十分だ。ソフィアンさんは、大規模な水力発電や地熱発電の開発プロジェクトが必要だと述べ、「インドネシアの大半の地域は1年の半分が雨期なので、水力発電には非常に大きな可能性がある」と指摘する。

 また、地震活動が非常に活発なエリアに位置するインドネシアは世界的にみても地熱資源量が多い。地球内部で発生するエネルギーを利用する地熱発電は環境への負荷が最も少ない発電方法の1つとされているが、探査の許認可に関する法規制の動きが鈍い上、事業主体は官僚的な手続きに縛られるなどの事情から、開発はほとんど進んでいないのが現状だ。