■雇用と経済

 スウェーデンが戦闘機や軍需品を国外から低価格で効率的に調達することは可能であるものの、商業的利益がそれを妨害していると、複数の国防専門家は指摘している。

「スウェーデン政府は諸外国政府と同様に先進的な国防産業の技術が他の領域に拡散浸透することを知っている」と、スウェーデン国立防衛大学(National Defence College)軍事研究所のグンナー・フルト(Gunnar Hult)副所長は語る。

 また「それに雇用問題がかなり大きい。人々はサウジアラビアでわれわれがしていることよりも、地元の雇用の方を大切にする」と同副所長は付け加えた。

 スウェーデンの国防産業では約3万人が雇用されている。そのうちの多くの労働者は、軍需工場が最大の民間雇用先である町に暮らしている。

 フルト氏は、スウェーデン政府の外交政策が武器輸出による商業的利益と絡み合うようになったと指摘し、一例として2011年にNATOがリビアに設定した飛行禁止区域の実施にスウェーデンが参加したことを挙げた。

「わが国のリビア作戦参加はグリペンにとってかなりの利益になった。これはどの政治家も決して認めないことだが、真実だ。人々は軍事作戦に参加しているものとして見る。これはビジネスにとって良いことだ」

 中道右派の連立与党に所属するアラン・ウィドマン(Allan Widman)氏は「スウェーデンの政治家の間では、国防技術と国防産業がスウェーデン経済の最も肝要な部分であるという認識がある」と語る。

 だが国防専門家や平和活動家の多くがこの認識を否定し、兵器産業がスウェーデンの輸出のわずか1%にすぎないと指摘する。政府が支援する理由は、むしろ国の誇りの問題だという──特にサーブの戦闘機の販売については。

「サーブはスウェーデンの最も重要な企業の1つと認識されている」とSIPRIのウェゼマン氏は述べ、「プライドとナショナリズムの強い感情──これ(サーブ製品)は良質なスウェーデン製品だという──があり、彼らはサーブに誇りを持っており、このことが大きな影響を及ぼしている」と語った。(c)AFP/Tom SULLIVAN