【5月26日 AFP】紛争調停や寛大な対外援助で世界的に評価されるスウェーデンは、一方で世界の主要な武器輸出国であり、人権侵害で非難されている複数の国家を顧客にしている。

 スウェーデンは国民1人当たりの武器輸出量でイスラエルとロシアに次ぐ世界第3位で、好景気の軍需産業は、その取引相手の一部国家をめぐり、国民に倫理的な懸念をもたらした。

 スウェーデンの軍需産業の中心部に位置する格納庫では、サーブ(Saab)の技術者が次世代のグリペン(Gripen)戦闘機の組み立てラインを建造中だ。最新鋭の戦闘システムとより広くなった兵器格納ベイを備えた新型グリペン戦闘機は、少なくとも60機の製造がスウェーデン空軍向けに決まっている。

 サーブ担当者によれば、「グリペンE」戦闘機はロシアの最高性能の戦闘機に対抗しうる機体として、独自のネットワークシステムを搭載し、航空機間で通信して索敵、電波妨害、攻撃を分担する能力を備えている。

 サーブやBAEシステムズ(BAE Systems)、ボフォース(Bofors)など、スウェーデンに拠点を置く軍需企業は2000年代に大成功を収めた。13年だけでも、武器や軍需品を55か国に販売し18億ドル(約1800億円)を売り上げている。

 だが、冷戦終結とともに西側諸国からの需要が減少したことを受け、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、パキスタンなど人権侵害で非難されている国家への武器売却が増えていると批判する声がある。