【5月20日 AFP】アフリカ中部ウガンダの裁判所は19日、自身を刺した医療器具を2歳児の患者に用いたHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者の女性看護師に、業務上過失の罪で禁錮3年の有罪判決を言い渡した。

 1月に逮捕されたローズマリー・ナムビル(Rosemary Namubiru)被告(64)をめぐる世論は真っ二つに割れている。意図的に患者をHIVに感染させようとしたとして被告を「殺人看護師」と糾弾するメディアもある一方、エイズ(AIDS)患者支援活動家らは被告はHIV陽性者に対する偏見の犠牲者だと主張している。

 ナムビル被告は当初は殺人未遂の容疑がかけられていたが、感染症を意図的に拡大する行為を罰する法律により業務上過失で有罪とされた。

 ウガンダのHIV/エイズ患者支援団体「ナショナル・フォーラム・オブ・ピープル・リビング・ウィズ・HIV/AIDSネットワークス・イン・ウガンダ(National Forum of People Living with HIV/AIDS Networks in Uganda)」のステラ・ケンツチ(Stella Kentutsi)代表は、ナムビル被告について「(患者の)2歳児にカニューレ(血管などに挿入するパイプ状の医療器具)を挿入しようとしたが、2歳児が動き回ったため自分を刺してしまった。幼児がおとなしくなった後に、そのカニューレをそのまま幼児に挿入してしまっただけだ」と擁護し、裁判の周辺で「誤った情報を流して世論をあおった」とメディアを非難した。

 カニューレを挿入された乳児を検査したところHIV陽性ではなかったが、当局者は感染の有無を判断するのは時期尚早だとしている。

 ウガンダ議会は先週、エイズ発症につながるHIV感染拡大の防止措置として、HIVに意図的に感染させる行為を犯罪と定めた法案を可決していた。

 かつてウガンダはHIV対策で成果を上げたとたたえられていた。ヨウェリ・カグタ・ムセベニ(Yoweri Kaguta Museveni)大統領はアフリカの首脳としては早い時期からエイズ問題について公に発言し、ウガンダ政府が1980年代後半から90年代にかけて行った啓発活動は高い効果を上げた。その結果HIV感染率は2桁から1桁台まで低下した。

 しかし最も直近の2011年統計によると、罹患率は2004~05年の6.4%から7.3%に上がっている。保健当局者はエイズ対策への自己満足が罹患率上昇の原因だとしている。(c)AFP