【5月20日 AFP】1999年に米国のベンチャー投資家から出資を拒まれ、資金繰りに苦しんでいたジャック・マー(Jack Ma)氏は、複数の友人から計6万ドル(約610万円)を融通してもらい、アリババ(阿里巴巴、Alibaba)を立ち上げた──。

 15年後、アリババは電子商取引大手に成長し、マー氏は中国の大富豪の仲間入りを果たした。米経済誌フォーブス(Forbes)によると、マー氏の資産総額は84億ドル(約8520億円)に上る。

 アリババは今月、米証券取引委員会(US Securities and Exchange CommissionSEC)に新規株式公開(IPO)に向けた書類を提出。IPOの規模は過去最大規模とみられ、2012年に160億ドル(1兆6200億円)を調達した米フェイスブック(Facebook)に並ぶとされている。

 アリババは企業と個人の取引を仲介する「天猫(Tmall)」、個人向けネットオークションサイト「淘宝(タオバオ、Taobao)」などを運営する。

 現在49歳のマー氏はもともと、大学の英語講師だった。浙江(Zhejiang)省の杭州師範学院(現杭州師範大学)英語科を卒業した後、杭州(Hangzhou)の別の大学で教えた。

 中国国営メディアによると、マー氏の両親は十分とは言い難い教育しか受けておらず、父親は月40ドル(約4000円)の退職金でどうにか家族を養っていたという。

 マー氏はCNNのインタビューで「初めてインターネットを使った時、『ああ、これが私の信じるものだ』とキーボードに触れながら思った。これは世界を、中国を変えていくと直感した」と話している。

 そして2006年、米インターネット通販・競売大手イーベイ(eBay)は、淘宝の存在により中国市場からの撤退を余儀なくされ、マー氏の成功は揺るぎないものとなった。

 マー氏は13年に最高経営責任者(CEO)職を退き、現在は会長として戦略的に関わりながら会社の向かうべき方向性などを決めているという。

 今月のIPO申請の際、マー氏は2万人を超える同社社員に文書を送った。その中でマー氏は「15年前、18人の仲間とアリババを立ち上げた時、中国人によるグローバルなインターネット企業を作ろうと決めた。世界で10指に入り、102年間、存続する企業にしたいと考えていた」と述べていた。102という数字には、3つの異なる世紀にかけて存在できるという意味が込められているという。(c)AFP