【5月19日 AFP】第67回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)の開会式で、イランの女優、レイラ・ハタミ(Leila Hatami)さんが実行委員長の頬にキスをした行為について、イラン当局は18日、同国女性の「純潔さ」を侮辱する行為だとして怒りをあらわにした。

 イランのメディアが報じた写真には、ハタミさんが実行委員長のジル・ジャコブ(Gilles Jacob)さんの頬にキスする様子が捉えられていた。

 イラン国営放送(Islamic Republic of Iran BroadcastingIRIB)の電子版によると、同国の副文化相はこの報道に対し、「国際イベントに参加する者は、イラン女性に対する悪いイメージを世界に与えないよう留意するべきだ」と述べ、また「イラン女性は、純潔と無垢の象徴」だとしながら、映画祭でのハタミさんの「不適切な振る舞い」は、「われわれの信仰と一致しない」と発言している。

 映画と関係の深い家庭に生まれたハタミさんは、2012年のアカデミー賞(Academy Award)最優秀外国語映画賞(Best Foreign Language Film)を受賞した、アスガー・ファルハディ(Asghar Farhadi)監督の映画『別離(A Separation)』で主役を演じ、一躍有名となった。

 普段はイランで暮らしているハタミさんは、今年の同映画祭では審査員を務めている。

 1979年の革命以来定着しているイスラム法(シャリア)のイランでの解釈によると、女性は家族以外の男性との肉体的接触を許されていない。(c)AFP