【5月19日 AFP】サッカー元ブラジル代表の英雄ペレ(Pele)氏が、6月12日から7月13日にかけて母国ブラジルで行われるW杯(2014 World Cup)に向け、代表の応援歌を自ら制作している。

 ペレ氏は現地紙フォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)の記者の前で、「たくさんの喜びをくれ、涙を流させる。サッカーが私たちの血管を流れている」という出だしのその曲を歌ってみせた。

 大会の公式テーマソングとしてピットブル(Pitbull)とジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)が歌う曲がリリースされ、またリッキー・マーティン(Ricky Martin)による別のテーマソングもあるなか、自ら曲を発表することについて、W杯制覇を3度経験しているペレ氏は「ブラジルの曲が必要だった」と語った。

「リッキー・マーティンの曲を聴いたが、好きになれなかった」と語ったペレ氏は、ほかの曲もチームが乗り越える「試練を思い起こさせるものではない」と続け、ブラジル国民に良い時も悪い時も「セレソン(ブラジル代表)」を支えてほしいと呼びかけた。

「私の曲は、チームにブーイングはしないでほしいと国民に伝えるものだ」

 それはブラジル代表の苦戦が予想されるということか、と記者に問われたペレ氏は、そうは思わないが「ブラジルのファンの要求はとても厳しい」と答えた。

「守備は強固だし、あとは攻撃面の細かい部分を詰めるだけでいい」

 ペレ氏は曲のタイトルは明かそうとしなかったが、すでにレコーディングには取りかかっており、間もなくリリースする予定だとコメントした。

 ブラジル国内では、110億ドル以上にふくらんだW杯の費用に抗議するデモが最近も発生しており、大会が台無しになるのではとの不安が広がっている。ペレ氏は、平和的な抗議であれば行う権利があるとした上で、不満をチームに向けるのはやめてほしいと訴えた。

「もちろん国民は不満を抱いているが、それは政治家に言ってほしいんだ。政治の腐敗やスタジアム建設費の高騰、それらは選手にどうにかできる問題ではないし、彼らのせいでもない」

 ペレ氏はまた、決勝がブラジルとウルグアイの対戦になればうれしいと語った。その組み合わせになれば、前回の自国開催だった1950年W杯で、ウルグアイに優勝をさらわれた屈辱を晴らす機会がブラジルに訪れる。(c)AFP