【5月18日 AFP】(一部更新)中国が南シナ海(South China Sea)に石油掘削施設を設置したことを受けて激しい反中デモが起きたベトナムから、中国政府は17日午後までに中国人3000人以上を出国させた。国営新華社(Xinhua)通信が18日報じた。

 新華社によると、反中デモで重傷を負った中国人16人も18日朝、中国政府が派遣した医療設備を備えたチャーター機でベトナムから出国したという。16人が勤めている企業は明らかにされていない。中国は自国民を避難させるため船舶5隻もベトナムに向かわせた。

 ベトナム当局によると先週の反中デモで中国人2人が死亡、140人以上が負傷した。法律に違反したとして300人以上が訴追されている。

 ベトナムの市民グループは17日、新たな反中デモをベトナム全土で18日に実施するよう呼び掛けた。ベトナム政府は17日、抗議行動が大きくならないよう警備を強化するよう全国の関係部門に命じた。

 ベトナムの首都ハノイ(Hanoi)では数百人の制服・私服の警察官が、中国大使館などデモが行われるとみられる場所への通行を制限し、抗議行動を阻止した。反中活動家のブログによると、警察はハノイ以外の幾つかの都市で多数の活動家を拘束し、反中デモの実施を阻止したという。

  ベトナム政府によると先週、国内58省と5政府直轄市のうち22省/直轄市で反中デモが発生。暴徒化したデモ隊が中国と関係がある外資系企業や工場に放火するなどして、400社以上が影響を受けた。

 中国が南シナ海に石油掘削施設を設置したことで、長年続いてきた中国とベトナムの確執に火が付いた形になっている。

 ベトナム政府は、国内の政治的思惑から国民の「ガス抜き」をするために反中デモを認めることもあった。しかし、ベトナムの発展は外国からの投資に大きく依存しているにもかかわらず、今月13、14日の反中暴動で投資先としてのベトナムのイメージが損なわれたことから、ベトナム政府はデモの禁止にかじを切った。(c)AFP/Carol HUANG