【5月16日 AFP】中国の国営紙・環球時報(Global Times)は16日、南シナ海(South China Sea)は戦略的に重要だとして、中国政府がベトナムとフィリピンに対し「非平和的」な手段で臨むことを支持するとの社説を掲載した。南シナ海で戦争が起きる可能性もあるとしている。

 社説は、「南シナ海の係争問題は平和的に解決すべきだ。だが、それはベトナムとフィリピンからの挑発に直面した際に、中国が非平和的な手段に訴えてはならないという意味ではない」と主張。「多くの人々は、中国が戦争をせざるを得なくなった場合でも、他国は中国の真摯な平和的意図を理解してくれると確信している」と述べている。

 環球時報は、愛国的な論調が多くみられる新聞。

 中国は南シナ海のほぼ全海域に対して領有権を主張しており、西沙諸島(パラセル諸島、Paracel Islands)に今月、石油掘削装置を設置。これを受けてベトナムでは大規模な反中デモが広がり、中国政府の16日の発表によると、これまでに少なくとも中国人2人が死亡、100人以上が負傷した。

 一方、フィリピンも南シナ海で中国と領有権を争っており、国連(UN)による調停を求めている。フィリピンの首都マニラ(Manila)では16日、フィリピン人とベトナム人が共同で反中デモを行い、数百人が中国領事館前を行進した。

 中国外務省は15日、フィリピン政府とベトナム政府を強く非難。特にベトナムに対しては声明で、暴徒化する反中デモの制御を怠り黙認したと非難した。(c)AFP