【5月15日 AFP】イタリアの探検家クリストファー・コロンブス(Christopher Columbus)が初めてアメリカ大陸に到達した際に乗船していた旗艦「サンタマリア(Santa Maria)号」を発見したと発表した米国の海洋考古学者は14日、略奪を防ぐため早急に船を引き揚げる必要があると訴えた。

 海底探検家のバリー・クリフォード(Barry Clifford)氏(68)は国際探検家協会エクスプローラーズ・クラブ(The Explorers Club)に対し、「緊急を要する状況だ。可能な限り早急に引き揚げ、保存し、世界に向けて展示する必要がある」と話した。

 同氏は13日、コロンブスが500年以上前にサンタマリア号が座礁した場所と説明していたハイチ沖の海域で見つかった沈没船を、11年にわたり調査した結果、船がサンタマリア号であることを示す「確かな」証拠を得たと発表していた。

 同氏は「沈没船は現在、誰も監視していない状態」で「場所を知っている者もいる」と説明。現在、発見現場の保全に向けてハイチ当局と協議中であり、「許可を得れば来週にも、(引き揚げに向けて)出発する準備はできている」と話している。

 コロンブス率いる探検隊は1492年8月3日、アジアへの短距離の航路を見つけるため、サンタマリア号とニーニャ号(La Nina)、ピンタ号(La Pinta)の3隻に乗り込み、スペイン南部のパロス・デ・ラ・フロンテラ(Palos de la Frontera)を出港。同年10月12日、バハマ(Bahamas)諸島の島の1つに到着したと考えられており、この出来事は「コロンブスのアメリカ発見」と広く呼ばれている。

 コロンブスはキューバに立ち寄った後、現在のハイチとドミニカ共和国にあたるイスパニョーラ(Hispaniola)島に向かったが、同年12月25日にはサンタマリア号が暗礁に乗り上げて沈没。翌1493年1月にスペインに向けて出発し、到着後は女王イサベル1世(Queen Isabella)に、これらの島への航海について報告した。(c)AFP/Mariano Andrade