■「新たなブブゼラ」ではないディアボリカ

 このベルギー産ブブゼラは、息を吹き込んで振動音を発生させる仕組みは本家と同じだが、音はラッパに近く、より高いものが出る。製作者によると、音量は98デシベルとブブゼラに匹敵するが、肺活量は小さくて済むとしている。

 南アフリカ大会のブブゼラは、言葉の専門家による投票で大会の「言葉」に、また「南アフリカの12番目の言語」に選ばれた一方、怒った蜂の羽音に例えてうるさいと訴える人も多かった。

 医師はブブゼラが耳を悪くすると警告し、テレビのアナウンサーは仕事にならず、選手は「集中できなかった」と漏らした。そのため国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)はその後、多くの試合でブブゼラの使用を禁止している。

 しかしドス・サントスさんは、ディアボリカなら大丈夫だとして不安視していない。ディアボリカは1本9ユーロ(約1250円)で、出場全32か国のチームカラーに対応している。

 ドス・サントスさんによれば、ディアボリカは「欧州全域で購入可能で、ベルギーでの売れ行きが目立つが、同時にポルトガルでもよく売れている」と話す。

 またラヴァージェさんによれば、「最近はエクアドル、モザンビーク、コロンビア、アンゴラからも注文の問い合わせがあった」そうだ。ラヴァージェさんが所有する従業員14人のモンスの小さな工場は、現在は注文に追い付くため1日16時間から18時間も稼働しており、「止まりようがない」状態だという。

 実はディアボリカのライバル楽器としては、「カシローラ(caxirola)」という大会公認グッズがある。ところが皮肉なことに、黄色と緑に塗られたポット形のパーカッション楽器で、振るとシャカシャカと音が鳴るこのカシローラは、スタジアムへの持ち込みが禁止されている。

 2013年に行われたコンフェデレーションズカップ(Confederations Cup 2013)の前に、国内リーグの試合でサポーターが選手に向かってカシローラを投げつけたことを受け、政府がカシローラの持ち込み禁止に踏み切ったのだ。

 以来ブラジル政府は、武器として使える物品の持ち込みは本大会でも認めないとしている。しかし、現時点では同国政府、FIFAともに、ディアボリカ、あるいはブブゼラについては、暴力行為に使用されるとみなされた場合、持ち込みが禁止される可能性があるとしたのみで、明確な立場は示していない。

 ドス・サントスさんは、元ブラジル代表のスターであるロナウド(Ronaldo)氏、さらにはミシェル・プラティニ(Michel Platini)氏やルイス・フィーゴ(Luis Figo)氏がディアボリカを試しに来た時の写真を取り出し、製品には自信があると語った。

「何週間か前にマドリードで慈善試合があった際、ロナウド氏と会ってディアボリカを試してもらいました。返したくなさそうにしていましたよ」

「見ていてください。ディアボリカは、この夏ブラジルで爆音を響かせますよ」

(c)AFP/Benoit NOEL