【5月7日 AFP】ミシェル・オバマ(Michelle Obama)米大統領夫人が5日、メトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art,MET)内にリニューアルオープンした「アナ・ウィンター・コスチューム・センター(Anna Wintour Costume Center、旧コスチューム・インスティチュート)」の開館式に出席し、センターの名称の由来となった米『ヴォーグ(VOGUE)』誌のアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長に熱烈な賛辞を送った。

 オバマ夫人はこの日、インド生まれのデザイナー、ナイーム・カーン(Naeem Khan)がデザインしたグリーンのフラワープリントのドレスで会場に現れた。スピーチでは、「本日はアナのために来ました。私が本日ここにいるのは、彼女を称賛し、尊敬しているからです。アナを友人と呼べることを非常に誇りに思います」と語り、同センターがファッション業界に関心を持つ若い世代の人たちにとって、学びとインスピレーションの場になるだろうとコメントした。

 この開館式にはダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、カルバン・クライン(Calvin Klein)、ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、オスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar De La Renta)といった大御所デザイナーらに加え、ハリウッド女優のサラ・ジェシカ・パーカー(Sarah Jessica Parker)も出席した。

 同日の夜に開催された社交界のイベントの中でも最大規模のガラパーティーには、ファッション界やスポーツ界、ハリウッドなどで活躍するビッグスターたちが参加した。

■研究とインスピレーションの場に

METのトーマス・キャンベル(Thomas Campbell)館長は、センターは「次世代の人たちをインスパイアし、彼らに必要な資料を提供するべく作られた」と語った。

 2つのギャラリーに加え、リサーチエリアや、図書室なども設けられており、約3万5000点に及ぶ衣装やアクセサリーと、本や雑誌、スケッチ、写真など約3000点の貴重な資料が保管されている。

 キュレーター責任者を務めるハロルド・コーダ(Harold Koda)氏は、「こうした新しいスペースができたことで、私達も歴史的なコスチュームや現代的なファッションの展示の仕方を見直すことができます」と語った。

■偉大なクチュリエ、チャールズ・ジェームスの作品を展示

 改装後初の展覧会は、英国で生まれ、1940年にアメリカへ渡った革新的なクチュリエ、チャールズ・ジェームス(Charles James)にフォーカスしたもので、1920年代から同氏が亡くなる1978年までに制作された衣装の中で最も著名な作品約65点を展示する。

 キャンベル氏は、「ジェームスは自身のことをアーティストだと考えており、ファッションへのアプローチも、彫刻家的な視点と科学的なロジックを用いていました。メトロポリタン美術館は彼のこうした革新的で複雑な仕事を理解するのにうってつけの場所です」と語った。

 メインギャラリーでは、ジェームスがデザインした15点のドラマチックなイブニングドレスなどを展示。中には1940年代後半から1950年代前半にかけて制作されたバタフライドレスやスワンドレスもある。また、ドレスの複雑な仕組みを解説するアニメーションや文章、古い写真などが併せて展示されている。

 同センターのキュレーター、アンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)氏は「ドレスの作りや構造、下着、動き、シルエット、クリノリンやバッスルが立てる音など、目に見えない部分もテクノロジーを使って見られるようになっています」と語った。(c)AFP