【5月7日 AFP】(一部更新、写真追加)タイ憲法裁判所は7日、インラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相が2011年に高官人事をめぐって権力を乱用したとして憲法違反に問われた裁判で、首相の権力乱用を認める判断を下し、シナワット首相は失職した。

 これを受けてタイ暫定内閣は同日、直ちにニワットタムロン・ブンソンパイサーン(Niwattumrong Boonsongpaisan)商業相を暫定首相に指名した。

 裁判は、インラック首相が2011年に当時の国家安全保障会議の事務局長を異動させた人事は権力乱用だとして、反首相派の議員団が弾劾を求めて憲法裁判所に訴えていたもの。インラック首相の失職を受け、裁判所の外ではインラック氏の排除を最大目的としていた反政府派の人々が喜びの歓声をあげた。

 テレビで放送された判決言い渡しで、裁判長は「首相はその地位を失った」と宣言した。同時にシナワット首相の人事を承認した閣僚9人の失職も言い渡された。

 与党は、予定通り総選挙を7月20日に実施して新内閣を発足させると主張しているが、選挙日の確定には国王の勅令を得ねばならない。

 今回の判決により、タイの政治危機はさらに深刻かつ長期化する可能性がある。

 バンコク(Bangkok)の路上では、依然として反政府派が抗議デモを続ける一方、政府支持派の「赤シャツ隊(Red Shirts)」はインラック氏失職判決への抗議デモを行う構えを見せており、両派の衝突が懸念される。(c)AFP