【5月7日 AFP】世界の妊産婦死亡数は最近数十年間で急速に減少しているが、サハラ以南アフリカ地域の女性は妊娠中に死亡する割合がいまだに飛び抜けて高いとの報告書が6日、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)から発表された。

 WHOの最新の統計によると、2013年の世界の妊産婦死亡数は、1990年に妊娠中または出産時に死亡した女性の数、約52万3000人から45%減の28万9000人にまで減少したという。

 しかし、このように大きな前進を示している一方、WHOはこの数字がまだ十分ではないことを強調している。

 報告書の共著者の1人で、WHOのリプロダクティブ・ヘルス部門を統括するマルレーン・テマーマン(Marleen Temmerman)氏は「今でも世界のどこかで、1分半から2分に1人の割合で女性が死亡している──新しい命を生み出そうとするために」と語る。

 スイスのジュネーブ(Geneva)で開かれた記者会見で同氏は、「これは毎日、飛行機2機が墜落事故を起こしているようなものだ」と述べ、「もっと集中的に議論されるべき問題だ」と主張した。

 今回のWHO報告書は、出産の危険性が依然として富裕国より発展途上国で、特にサハラ以南アフリカ地域で痛切に感じられていることを示すものとなった。

 チャドの女性は、一生涯中の妊娠および出産時に死亡するリスクが約6.6%と、フィンランド女性における同リスクの1000倍以上に相当することを、報告書の統計は示している。

 世界の妊産婦死亡数の約6割を占める上位10か国には、ナイジェリア、コンゴ、エチオピア、ケニアを含むアフリカ諸国が多く名を連ねている。

 一方でWHOによると、過去23年間で妊産婦死亡率を最も減少させることに成功した国々の中にも、アフリカの数か国が登場しているという。

 妊産婦死亡数を1990年から75%以上減少させ、2015年を最終期限とする国連(UN)のミレニアム開発目標(Millennium Development GoalsMDGs)を達成している国は世界で11か国しかない。達成国は主にアジアの国々だが、この中にはルワンダ、赤道ギニア、エリトニアなどの国々も含まれている。

 テマーマン氏は、大半の国々が来年までにこの目標を達成する見込みは薄いと指摘しながら、妊娠を控えてた母親に対するケアへの投資を大幅に増やす必要があると呼び掛けた。(c)AFP/Nina LARSON