【5月5日 AFP】リビア議会で4日に行われた新首相の信任投票結果について、疑いの声が上がっている。

 当初発表された開票結果では、イスラム系勢力が支援する実業家アフメド・ミティグ(Ahmed Miitig)候補(42)の得票数は113とされ、首相就任の条件として憲法で定められている120に届いていなかった。だがその後、制憲議会のサリフ・マフズーム(Salah al-Makhzoum)氏が、ミティグ氏は全185票のうち121を得て対立候補の大学教授オマル・ハシ(Omar al-Hassi)氏に勝利したと発表。議会の閉会後に票の再集計が行われたとみられ、一部の議員からの批判を呼んでいた。

 その後、制憲議会のエゼディン・アワミ(Ezzedin Al-Awami)第1副議長は、ミティグ氏は信任に必要な得票数を得ていないとして、議会は同氏の首相就任を承認しないと宣言。政府のウェブサイトで公開された声明には、ミティグ氏の得票数は113だったと書かれている。続いて同サイトに投稿された2つ目の声明でアワミ氏は、今回の信任投票は「無効かつ違法」と述べている。

 リビア政府は、2011年の民衆蜂起によってムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)政権が崩壊して以来、秩序の回復に奮闘しており、リビア首相の職は困難かつ危険と隣り合わせとなっている。

 昨年にはアリ・ゼイダン(Ali Zeidan)首相(当時)が武装集団に拉致され、数時間にわたり拘束される事件が発生。ゼイダン氏が反政府勢力の原油輸出を阻止できなかったとして3月に解任された後、4月に首相の座についたアブドラ・シンニ(Abdullah Thinni)氏も、自身と家族が襲撃されたことを理由に、就任からわずか5日後に辞任している。

 7候補の中から新首相を選ぶ投票は、先月29日にも行われ、第1回投票でミティグ氏が67票で首位、ハシ氏が34票で2位につけていたが、同日中に行われた第2回投票は武装集団が議場に侵入・発砲したため中断していた。武装集団の動機については、現在も明らかになっていない。(c)AFP/Imed LAMLOUM