――年齢を感じさせないクルム伊達

 デザイナーブランドのブラウスに、ジーンズとハイヒールを合わせてインタビューに臨んだクルム伊達は、自身の将来と真正面から向き合っている。

 京都出身のクルム伊達は、1996年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)準決勝で、ドイツのシュテフィ・グラフ(Steffi Graf)に惜敗し、同年に引退を表明した。

「37歳で現役復帰したときは、今よりもはるかに強かった。でも、まだやめようとは思いません」

 2008年に現役復帰を果たして以来、クルム伊達は夢のような出来事をいくつも経験してきた。

 クルム伊達は、2009年の韓国オープン(Hansol Korea Open 2009)で、ビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)に次ぐWTAツアー史上2番目の高齢優勝を飾り、2013年のウィンブルドンでは史上最高齢の3回戦進出を果たした。

「特別な秘密は何もありません」と話すクルム伊達は、「90年代からテニスはより科学的になり、体幹と背筋を強化することで、力を最大限に発揮できるようになった」と話している。

 しかし、科学だけでここまでの結果は残せない。

 シングルスでツアー通算8勝を挙げているクルム伊達は、「もし2016年に東京五輪があれば、モチベーションは最高潮に達していたでしょうね」としながらも、「可能性はある」とも語った。

 引退のきっかけにもなったウィンブルドンで、自身が主導権を握っていたにもかかわらず、対戦相手のグラフが視界の悪さを訴えたために試合が翌日に順延され、まさかの敗戦を喫したことに話題が及ぶと、クルム伊達は謙虚に肩をすくめた。

「私にはボールが見えていたし、プレーを続けたかった。もしかしたら勝てたかもしれないけれど、あれは運命だったんです」

 ひとしきり笑った後、クルム伊達はこう締めくくった。

「テレビで再放送を見たとき、私が何よりもショックを受けたのは、当時の自分にしわがほとんどなかったことです」

(c)AFP/Alastair Himmer