【5月2日 AFP】国家分裂の危機が高まっているウクライナのオレクサンドル・トゥルチノフ(Oleksandr Turchynov)大統領代行は1日、徴兵制を即時復活させる命令に署名した。ウクライナ東部では親ロシア派勢力が勢力を拡大し、十数か所の都市や町を掌握しつつある。

 ドネツク(Donetsk)では同日、約300人の武装集団が火炎瓶やれんがを投げ付けるなどして、検察庁の6階建て庁舎を襲撃。数で劣る機動隊に殴りかかり、盾や警棒を奪い取った。

 ウクライナのメディアによると、同じく東部のゴルロフカ(Gorlivka)の検察庁とクラスノアルミースク(Krasnoarmiysk)の警察署も占拠された。

 ウクライナ暫定政権は、東部での「反乱」を陰で操っているとロシアを非難する一方、治安部隊が親ロシア派勢力を食い止められる状況にないことを認めている。トゥルチノフ氏は4月30日、国境付近に2か月にわたり集結している推定4万人のロシア軍部隊が侵攻してくる恐れがあるとして、ウクライナ軍の兵士13万人を「完全な戦闘態勢」につかせた。

 1日の徴兵令は18~25歳の男性予備役兵が対象で、「東部と南部での状況悪化」に対抗するのが目的。トゥルチノフ氏は声明で、拡大を続ける反乱行為と庁舎占拠は「領土の一体性を脅かす」と述べている。(c)AFP