【5月1日 AFP】国際通貨基金(International Monetary FundIMF)は4月30日に開いた理事会で、財政難と政治危機に見舞われているウクライナに対し向こう2年間で総額170億ドル(約1兆7400億円)の融資枠を設定することを承認した。これにより、同国に対する32億ドル(約3270億円) の融資が直ちに実行可能となった。

 IMFによると、今回承認した融資プログラムは、ウクライナの「マクロ経済の安定回復と経済統治の強化、透明性の向上、健全で持続可能な経済成長、最も影響を受けやすい人々の保護」が目的。ただし、クリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事は、同国への支援は特に地政学的に大きなリスクを抱えるものであることも認めている。

 今年2月に親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領がその職を解任されて以降、政治的・経済的に大きな圧力にさらされているウクライナについてIMFは、国際的な支援がなければ今年、経済が5%縮小する可能性があると警告しており、迅速な支援の実施に向け動いた。

 世界銀行(World Bank)や欧州連合(EU)などの支援を合わせると、ウクライナに対する国際的な支援の総額は270億ドル(約2兆7600億円)に上る。

 ウクライナはロシア産天然ガスの輸入代金およそ22億ドル(約2250億円)を滞納しており、ロシアは天然ガスの供給停止をちらつかせていることから、初回の融資分の一部はこの支払いに充てられることも考えられる。(c)AFP/Jeremy TORDJMAN