【4月30日 AFP】シリアで塩素ガス攻撃が行われた疑いが持たれている問題で、オランダ・ハーグ(Hague)の化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)は29日、調査を行うと発表した。

 この疑惑は、反体制派が掌握しているシリア中部ハマ(Hama)県カファル・ゼイタ(Kafr Zita)で、少なくとも1回の攻撃に塩素ガスが使用されたというもので、政権側と反体制派はいずれも相手側によるものとして互いに非難し合っている。また反体制側は、政権側はこれ以外にも塩素ガス攻撃を数回行ったと主張している。

 英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は、専門家らの調査チームが政権側が3回のヘリコプター攻撃を行った場所の土壌サンプルから「相当量で間違いようのない塩素とアンモニアの残留物」を検出し、このことから政権側が民間人に対し引き続き化学物質を使用していることが明白になったと伝えた。

 OPCWは、シリアが今年6月30日を期限に進めている化学兵器の廃棄作業を監督するため、すでに同国入りしている。27日には、国連(UN)とOPCWが共同で、同国の化学兵器の92.5%が国外搬出または破壊されたと発表していた。

 昨年首都ダマスカス(Damascus)近郊でサリンガスによる攻撃が行われ、最大で1400人が死亡したという情報を受けて米国が軍事行動も辞さない構えを示すと、シリアは化学兵器計画の廃止に合意した。政権側は、このサリン攻撃を行ったのは自らの側ではないと主張している。(c)AFP