【4月29日 AFP】ウクライナの政変で大統領職を解任されたビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)氏の豪邸を飾っていた品々が、首都キエフ(Kiev)のウクライナ国立美術館で26日から展示されている。

 ヤヌコビッチ氏は反政府デモ隊と警官隊の衝突が激化した2月に逃亡。何千人ものデモ隊がキエフから約15キロ離れた大統領の私邸を占拠し、そこで目にしたぜいたくな暮らしぶりにショックを受けた。

 展示されているものの中には、巨大なワニ皮や派手な装飾品のほか、あらゆる背景そしてポーズで描かれたヤヌコビッチ氏の多くの肖像画などがある。特に目を引くのは、ウクライナの国旗に使用されている青と黄のレーシングスーツに身を包んだヤヌコビッチ氏の肖像画だ。

 また星に自分の名前を付けたことを示す額入りの証明書のほか、聖像や明るい色のアジア風花瓶、膨大の数の金メッキ時計、凝った装飾のろうそく立ても並ぶ。

 この展覧会では、ヤヌコビッチ氏による「自分への敬意」以外に、趣味の悪い装飾品コレクターとしての同氏の一面も垣間見ることができる。

 ヤヌコビッチ氏逃亡後、豪邸に詰め掛けたジャーナリストたちは、同氏の驚くほどの浪費癖を示す文書を見つけている。英字紙キエフ・ポスト(Kyiv Post)は、ヤヌコビッチ氏が複数の黄金のシャンデリアを約4100万ドル(約42億円)で購入したことを示す請求書を掲載。また溺愛する魚1匹に1000ドル前後(約10万円)の医療費が使われたことも明らかになっている。

 学芸員のAlexander Roitburdさんは、ヤヌコビッチ氏の「甚だしい下品さ」が来館者にとって教訓になるものと期待していると話す。また主任学芸員のYulia Lytvynetsさんも、長きにわたり密室の中で起きていたことをウクライナ国民に知ってほしいとAFPに語った。(c)AFP/Richard Carter, Maude Brulard