【4月26日 AFP】フランスのローラン・ファビウス(Laurent Fabius)外相は22日、フランスを訪れる観光客には週に7日思う存分買い物を楽しんでもらうべきだと発言し、同国における小売店の日曜の営業規制に関する激しい議論を改めて巻き起こした。

 ファビウス外相は仏RTLラジオで、「観光はフランスの何より重要な産業だ。雇用の7%を占めており、さらに大きく成長する余地がある」と語った。

 先の内閣改造で貿易・観光推進も職責の一部となった同外相は、「日曜に買い物に来て店が閉まっているのを見た観光客が木曜に改めて買い物に来ることはないだろう。観光客向けには、店は(日曜日も)開けておかなければならない」という見解を示した。一方で、従業員にはそれに応じた手当が支給されるべきとも付け足した。

 同国で日曜営業が認められるのは、厳密な条件に当てはまる場合のみ。最近では、首都パリ(Paris)のシャンゼリゼ(Champs-Elysees)通りの大型店舗が実施し観光客に大好評だった深夜営業について、裁判所が禁止を命じる判断を下した。これは、深夜と日曜の営業はあくまで例外とする原則を貫きたい労働組合による提訴を受けたものだった。

 しかしこの司法判断は、就業時間の延長とそれに伴う給与増の方を希望する従業員らを激怒させた。営業時間の問題は、フランスの競争力と硬直しているとされる労働市場の現状に関するより広範な議論の一部となっている。労働市場の硬直性こそが、雇用創出の足かせになっているという指摘もある。

 ファビウス外相がこの議論に踏み込んだことに対し、労働組合の代表者らは批判的な態度を示した。一方で、小売業の業界団体で加盟社の総従業員数は350万人に上る仏商業評議会(CdCF)は、同外相の意見を歓迎した。

 同評議会のジェラール・アトラン(Gerard Atlan)代表は、「観光ツアー会社が、パリを土曜の夜に出発し近隣のより開かれた国々へ行くよう予定を組んでいるのを目の当たりにするのは切ないものがある」と話している。(c)AFP