【4月25日 AFP】イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)で、デビッド・モイーズ(David Moyes)氏が壊滅的なシーズンを過ごした最後の物的証拠である「選ばれし者」と書かれた横断幕が24日、スタンドから撤去された。

 激しい中傷にさらされたスコットランド出身のモイーズ氏は、わずか10か月でユナイテッドの指揮官を解任され、クラブの歴史からも消去されることになった。

 チェルシー(Chelsea)のジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督が、自ら「特別な存在」だと公言したのに対して、前任のアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)氏に指名されてユナイテッドを引き継いだモイーズ氏は、サポーターから「選ばれし者」として崇められた。

 現在のみならず、過去に所属した選手や監督を称える言葉などを本拠地オールド・トラフォード(Old Trafford)に掲示するユナイテッドのファンクラブの1つは、モイーズ氏の写真とともに赤い大文字で「選ばれし者」と記した横断幕を掲げ、エバートン(Everton)から来た新監督を歓迎した。

 しかし、ユナイテッドはリーグ戦でつまずき、カップ戦でも敗退するなど、モイーズ監督にとっては辛酸をなめる結果となり、多くのファンから横断幕の撤去を求める声が上り、制作者が取り外しを考えていると報じられていた。

 結局、末期を迎えたモイーズ政権下でも横断幕は残されたままだったが、本拠地で行われるノリッジ・シティ(Norwich City)戦を25日に控え、同氏の解任から48時間以内に取り外されることになった。

 今季残りのシーズンは、ライアン・ギグス(Ryan Giggs)が暫定監督として指揮を執る。

 ほとんどのユナイテッドファンは、できる限り早くモイーズ氏の短期政権を忘れたいと願い、あらゆる論議の的となった同氏の政権を象徴する横断幕は、元指揮官に関連したものとして泥を塗るものとみられていた。

 同ファンクラブは、モイーズ氏の横断幕をマンチェスター(Manchester)にある国立サッカー博物館(National Football Museum)に寄贈することを考えている。

 また、撤去されて空いたスペースには、現在ユナイテッドの役員を務め、クラブを代表する名選手だったボビー・ チャールトン(Bobby Charlton)氏の新しい幕を掲げることが計画されている。(c)AFP/Steven GRIFFITHS